クルマ減税会

クルマユーザーのための減税団体「クルマ減税会」です

『ガソリン税の見直しを求める意見書』荒川区議会総務企画委員会 質疑内容

2023年11月8日 クルマ減税会は荒川区議会に対し

 

『国にガソリン税の見直しを求める陳情書』を提出し、2024年1月12日に、まず総務企画委員会での審議がありました。

 

経緯については下記をご覧ください

kurumagenzeikai.hatenablog.com

荒川区議会総務企画委員会『ガソリン税の見直しを求める陳情』採決結果



荒川区議会の総務企画委員会に置いては

 

 賛 成 多 数 で 【 採 択 】 

 

となり、今後本会議へ送られることになりました。

 

まずは当陳情について、賛否に関わらず真剣に議論して頂いたことに委員の皆様に厚く御礼申し上げます。

また、ご対応頂いた荒川区議会の事務局の皆様にも感謝申し上げます。

 

 

今回はその会議の模様を文字起こししていきたいと思います。

 

会議は

 

 質 疑

  ↓

 討 論

  ↓

 採 決

 

という流れです。

以下、議員氏名は敬称略

議員発言を青色事務局発言を黒。当会からの補足や反論を赤色で表記します

 

補足や訂正などは反映させたものとして、また発言内容は趣旨が壊れない程度に簡潔に意訳させて頂きます

 

【 質 疑 】

 

茂木弘(自民)「トリガー条項について発動後、130円/㍑以下が3ヶ月続いたら税率がいきなり戻る仕組みだが、値段がいきなり上げ下げする仕組みか?段階的にできる仕組みがあるか確認したい」

 

事務局「過去に発動していないし、分かりかねる。」

 

茂木弘(自民)「確かにトリガー条項の凍結は東日本大震災復興予算確保が理由で、震災からずいぶん経ち復興も進む中、いまだに復興特別税があるのは違和感があるが、能登震災があったのでそちらの予算確保も、政府としては考えるのではないかと思う。」

 

茂木弘(自民)「二重課税について、以前から問題視されていて確かに税金に税金をかけるというのはおかしいと思うので、これだけでも見直しをして欲しいと思う。」

 

茂木弘(自民)「元売り業者への補助金が、全額価格に反映されていない問題について、これが一番よく分からない。報道等で元売り業者の利益になっているという話もあるが、事務局の認識はどうか?」

 

事務局「補助金制度は元売り事業者に対する制度であり、実際にどのくらい価格に反映されたかは確認できていない。」

 

補足:政府はかつて補助金を始める前に、「補助額全額を価格にきちんと反映させる。そのための調査も行う。」と約束しています。

 

・その調査自体が無駄である(減税であれば必要ない)

・調査結果が活用されていないことが明るみになった

 

となり、現在の補助金制度に対する信頼がすでに無くなっています。

 

www3.nhk.or.jp

 

茂木弘(自民)「この価格調査に多額の費用が掛かっており、そこまで詳しくやらないと分からないのか?という疑問はあり、その分価格を下げたら良いとも思う。」

 

茂木弘(自民)「一番分からないのが、“政府の支給額と小売価格に反映された金額に累計46円/㍑もの差が有る”ということだが、こちらについての認識はどうか?」

 

事務局「あくまで一部の学説というか、その方の研究の結果と言うことで、当局では金額の差については確認できない。」

 

茂木弘(自民)「ガソリン価格は円相場等によって価格が前後するので、トリガー条項のように上げたり下げたりなり得る制度は難しいし、手続き的にも手間があるのではないかと思う。」

 

茂木弘(自民)「荒川区民にどのくらいの影響があるのか?事業者を除き一般の区民にはそれほど自動車を使っているとも思えないがデータがあるか?」

 

事務局「個人的な感覚だが、荒川区民は自転車などを使用する方が多いのかなとは思う。データとしては例えば区内の自動車数は33576台というデータがある。」

 

茂木弘(自民)「やはり一般の区民がそんなに使用しているとは思えない。一方で事業者にとっては価格変動が大きな差となることはそうだとも思う。」

 

茂木弘(自民)「トリガー条項の対象油種はなにか?」

 

事務局「ガソリン及び軽油です。」

 

増田峰子(公明)「ウクライナ戦争を機にした2年前のガソリン高騰時に、我が党としてもガソリン価格高騰対策を訴え、補助金を入れた経緯がある。現在、能登地震が起こり今後も災害対策を進めていかないといけないし、復興予算も必要だと思うが区の認識は?」

 

事務局「難しい問題だが、今回の能登地震激甚災害指定となり予算が多額になることが予想される。東日本大震災と同じように、税のあり方についても国が検討していくことになると思う。」

 

増田峰子(公明)「さらに、SDGsの観点からもガソリン価格を下げるのはいかがなものか?」

 

事務局「世界的に見るとやはりEVが増えているのだと思う。日本は2035年(ガソリン車販売ゼロ)の方針だが実態としてはなかなか進んでいないかと思う。その上でなるべく公共交通機関を使うなどお一人お一人が目標に向けて取り組んでいくべきかと思う」

 

反論:SDGsとガソリン減税を結びつけるのは下記の点から適切ではありません。

 

・SDGsの第1のミッションは『貧困の撲滅』。クルマを使わざるを得ないユーザーから多額のガソリン税を徴収することは、貧困の撲滅に逆行します。

www.unic.or.jp

SDGsを脱炭素と言い換える場合でも

 

・2020年以降、ガソリン減税を行った国は50ヶ国を越えます。世界の潮流はガソリン減税です。

2020年以降ガソリン減税を行った国

 

・EVは製造・廃棄で生じるCO2が多量輩出されます。EV車に買い替えるより、製品の寿命を延ばし長く乗った方がCo2排出量が少なくなるという論文も有ります。

 

 

 univ-journal.jp

 

 

山本剛(ゆい)「値段変動によるトリガー条項の“ON”“OFF”が変わることによる混乱の懸念については、現状130円/㍑と130円/㍑の間での乱高下が続くことは考えにくいと確信している。」

 

補足:過去20年でガソリン価格が130円/㍑を下回ったのは数回。今後インフレ、原油高、円安のすべてが崩れない限り、トリガー条項の解除になるリスクは極めて小さいでしょう

 

ガソリン価格の推移

 

 

山本剛(ゆい)「需要について、以前から政府答弁で『ガソリンの買い控えが起こる』とコピペされた来たが、通勤や物流などのユーザーは値段がいくらでもガソリンを入れざるを得ないので、買い控えできない」

 

補足:政府答弁の「買い控え云々」はガソリンスタンド事業者が反対の旗頭にしているにすぎず、唯一あった2008年の1ヶ月のガソリン価格の混乱を引き合いに出しますが、元々当時と今とは環境が全く異なり、いきなり値段が大幅な変動を起こすことは考えにくいです

note.com

 

山本剛(ゆい)「クルマに乗らない人には関係ないかについて、ガソリン価格は物流業者のコスト上昇となっており、あらゆる商品の価格に転嫁され、物価高騰の大きな要因となっている。税金を下げガソリン価格を下げることにより商品価格を下げるべき。区民の使うAmazonにも輸送コストが乗っている。」

 

山本剛(ゆい)「地方税として荒川区ガソリン税の歳入はいくらか?また、その税は使用目的など使い道の縛りがあるか?」

 

事務局「荒川区は地方揮発油譲与税として7000万円/年の収入である。使途は一般財源なのでどのような経費にも使用できる。」

 

山本剛(ゆい)「そもそもは道路特定財源であったものを一般財源化されたとういう以前からの経緯もありますし、使い道と言う点では、減税によってクルマユーザーに大きな不利益になることは無いということですね」

 

斎藤邦子(共産)「現在の補助金制度は石油元売り業者への補助ということで、本当に補助額分値下げしているのかという話があるが、それは私達はきちんと見ていかないといけないと思う。」

 

「2023年11月9日参議院経産委員会で岩渕参議院議員がこの問題を取り上げた。昨年8月の時点で6.2兆円を補助金にかけるという話だった。うち3.6兆円が34社の石油元売りに補助されたが、どの企業にいくら交付したのかは政府は明らかにしていない。補助額がどの企業に交付されてきちんと価格転嫁に使われているかは、税金なのできちんと示すべきだと思う。区の認識は?」

 

事務局「補助金は透明性を高めながら運用されるべき。本件はその中で国がきちんと制度設計を決めるべき。」

 

「対象の石油元売りの22年度の純利益は倍増している。さらに大手商社は3倍である。補助金では元売りの企業が儲かるだけなのではと思う。だからこそ減税によって直接価格軽減を行うべきというのが、自動車を使っている団体から多く寄せられているのだと思う」

 

 

「実際に、ガソリン価格を下げる政策として行っている補助金政策が、上手く機能していないのであればきちんと糺さないといけない。方法として最も有効なのはトリガー解除のように直接小売価格を下げることだと思う」

 

「トリガー条項が発動されたことが過去にあるか?」

 

事務局「2010年に作られたトリガー条項は直後の東日本大震災復興予算の為によく2011に凍結されたため、過去発動されたことは無い」

 

「近年の物価高等を考えれば解除を決断すべき」

 

「対象油種はガソリンのみか?軽油は対象外?」

 

事務局「ガソリンと軽油も対象である。」

 

「トリガー条項が発動された場合の荒川区の減収はいくらか?」

 

事務局「仮に1年間、トリガー条項が発動された場合は1千万円の減収となる。」

 

「トリガー解除した場合、国地方の減収分が1.5兆円だということだが、補助金で6.3兆使っているのだから、減収分は組み替えが可能である。」

 

「2重課税については当初から反対であるし、消費税そのものも反対である。二重課税についての認識は?」

 

事務局「ガソリンの二重課税については異なる目的で、異なるものに課税されるので二重課税には当たらないと認識している」

 

反論:二重課税の議論は、「法律的二重課税」「経済的二重課税」と学説にも議論の余地があることから正解は無く、政治家が納税者の立場に立った問題とするか?政府刑吏側に立った問題とするか?の政治判断です。さらに二重課税については政府の答弁がコロコロと変化している点は指摘しておく必要があります。

 

note.com

 

 

小坂英二(保守)「荒川区の公用車における台数と燃料費の年間負担額及び近年の推移はいくらか?」

 

事務局「公用車は62台。燃料費は令和4年度決算で、898302円」

 

小坂英二「先ほど荒川区民はクルマユーザーは少なく自転車等中心の方が多いという答弁があったが、あらゆる荒川区民は物流コストを最終的に負担しており、ガソリン価格はそのコスト形成の大きな要因である。その旨についての答弁が無かったのはなぜか?」

 

事務局「先ほどの答弁はあくまで自家用車のくだりでの話で、自家用車の利用状況について言及をした。輸送コストの負担については、広く区民の生活に密着していると認識している。」

 

 

小坂英二「SDGsの観点からの懸念の話があったが、一方で、日本の技術の結晶であるガソリン車を中心とした内燃機関車について、色んなクルマがあって良いと思うがいたずらに内燃機関を“古いもの”“環境に悪い”と決めつけ減らしていくことが本当に良い事か疑問だ。」

 

事務局「自動車産業EUをはじめとして国際的に厳しい規制が掛かっている。バランスを取り方は難しいと思う」

 

小坂英二「そのルールは極めて日本に不利になっている政府としても守るべきは守るべきである。ところで、今回の陳情書について事務局の全体的な認識は?」

 

事務局「基本的には国で議論されるべきだが、東日本大震災を受けて凍結された経緯を考えると、今回能登地方での震災もあったのでそれらを含めて考えるべき。また、条項を発動するためには、凍結されている法律を解除する手続きが必要。そのあたりをどうやって一歩踏み切っていくかについては注視していきたい。」

 

反論:トリガー条項の凍結は「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律44条」によって行われていて、そこには

東日本大震災の復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」

と書いてあります。他のいかなる理由も解除をしない理由にはなりません



 

事務局「二重課税についても、やはり国において議論すべきと考える。」

 

 

【 討 論 】

 

茂木弘(自民)【趣旨採択】「確かにガソリン税のあらましについては色々とおかしいところがある。また、区民の生活に関わることも良く分かる。私自身、補助金を止めてトリガー条項を行うことが良い結果になるのかの判断がつかない」

 

茂木弘(自民)「陳情の3番の数字が良く分からない。46円/㍑分が丸々元売りに流れたとは考えにくい。」

 

反論:小嶌正稔氏の主張は、毎週発表の補助金額と実際に値下がった額との差額を集計したものである。

diamond.jp

 

山本剛(ゆいの会)【 採 択 】「陳情3番の数字については、毎週の差額が少しずつ積み重なり、結果3か月のの累計が46円/㍑ということなので、数字としてあり得ると思う。やはり補助金の予算がトリガー解除時の予算よりも多大であることの証拠の一つである。

 

山本剛(ゆいの会)「補助金の終了は4月末で決まっていてその後は何も下げる手段が決まっていない。トリガーは160円以上の3ヶ月のカウントが必要であり、1月中にも方針を決めないと間に合わない。」

 

山本剛(ゆいの会)「復興をどうするかの議論の時に、今まで増税で復興予算を捻出してきた。しかし例えば荒川税務署の改修工事など、復興以外に予算が使われてきた事例も多い上、昨年は防衛予算倍増の為に、復興所得税から予算を流用することを決定したりして、事実上増税しても復興に使われていない。逆に減税によって直接被災者の負担を減らすべき。強く採択を主張する」

 

 

斎藤邦子(共産)【 採 択 】「陳情書は“国に意見書を上げて欲しい”という趣旨なので【趣旨採択】では上がらない仕組みだ。私もトリガー解除を行うのは今しないと間に合わないと思う。【採択】をして一刻も早く国に届けるべき」

 

斎藤邦子(共産)「現在の補助金制度は、きちんと小売価格に反映されていない。国民生活を守る上でも減税すべき、自動車連盟や建設業者からも“トリガー解除”の声は多い。」

 

斎藤邦子(共産)「能登震災があったからそちらのために回す。という話があったがとんでもない話だ。予算は膨張する防衛費など、予算をしっかり検証すべき。」

 

 

久家しげる(立憲)【 採 択 】立憲民主党としてもトリガー解除を要望してきた。地方はやはりクルマ社会。地方から物資が送られる時にはエネルギー価格は負担になるし、我々の暮らしにも大きく影響する。期限の絡みもあることであり、この意見書に賛成したい。」

 

 

小坂英二(保守)【 採 択 】「燃料費の負担は軽減されなければならないし、方法としてせいきゅ元売りに入れる補助金ではなく、販売時の消費者負担を減らすトリガー解除で行われたほうが透明性も確保される。」

 

小坂英二(保守)「地域に関わらず、あらゆる物流は自動車によって支えられており、その燃料にかかる負担は最終的に荒川区民も負担する。エンジン車(内燃機関車)は世界的には逆風であるが日本の産業の強みでもある。それを支えている区と言う意味においてもガソリンの税負担を軽減することは重要だ」

 

小坂英二(保守)「二重課税は論外なので是正すべき。強く採択を主張する」

 

採決結果

総務企画委員会採決結果

 

今回の委員会は音声のみYouTubeで視聴いただけます。

www.youtube.com

 

 

いかがでしたでしょうか?次回の本会議もしっかりトレースしてまいります😊

 

 

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